とある音屋の日常 「C3PROJECTスタッフBlog」

バラエティ番組が面白くない気がする

2018/02/08
日々の雑感 1
昨年いっぱいまでとあるスタジオで業務委託をうけて、いわゆるオンエアものの番組MAをよくやっていたのですが、今年に入ってからはそのスタジオでの作業がガクンと激減。そこで多かったバラエティものから離れて2ヶ月くらい経って、仕事の軸足がまた外画やアニメのアフレコ方向に向いてきた私です。

バラエティのMAが嫌いというわけではありませんが、感じる苦労やストレスの割には、残る事もなく、放送後は忘れ去られていく虚しい仕事がバラエティの宿命だと思っている自分にとっては、バラエティのMAというのは今まで身につけたあらゆる引き出しを使って、放送時刻に間に合わせつつ、最大限音を整えて放送品質に仕上げていくアクロバティックなタイムトライアル任務といった感覚で、アフレコものなどの作品の音を作るものとは性格の違う、カタにはめ込んでいく仕事だなと感じていたりします。

先日トランプ大統領の一般教書演説の中継を見たくてTVを見ました。
中継以外は興味ないのですが、合間に番宣が流れるので、その番宣を見て「今のバラエティは何か違う」と思ってしまうのです。

好き嫌いがありますし、時勢の流行り廃りもあるのでしょうが、どのバラエティも基本的には「ハプニング狙い」か、「目玉タレント頼り」のものが多くて、「作り」で楽しませるものが少ない。要するに番組の裏方の努力で楽しませるものがないんじゃないかなと思うわけです。

「ハプニング狙い」の番組は、最近の流行り業界用語でいう「撮れ高」次第で面白さが左右され、撮れ高の悪い回をテロップや効果音、ナレーションなどでごまかしてるだけのものがおおいし、「目玉タレント頼り」のものは面白いけど、それは番組が面白いんじゃなくて結局その人が面白いだけであって・・・。

今のテレビ番組は、制作側の疲弊もあってかどこか「おまかせ気分」で作られていて、それは制作側があらゆる準備をしないことの言い訳を体良く「出演者のアドリブにおまかせ」だとか「視聴者参加型」だとか「リアリティ」だとか言って、小手先で体裁を整えて番組としていることに尽きると思う。もちろんきちんと作られている番組もあるんですけど、こと笑いを主眼に置いたバラエティ枠については8割がたそんな感じに見える。

1980年生まれの自分は、テレビ番組が黎明期を経て円熟期に入った一番面白かった時期を視聴者として見ていたわけで、当時のテレビ番組は丁寧に面白く、しっかりとしたビジョンで「作られて」いたなと思うわけです。

番組の制作規模がが大きくなればなるほどそれが顕著になるのですが、「アタマ空っぽで見てワハハ」となれることと「アタマ空っぽの制作が作ったアタマの悪い番組」は別なんじゃないのっていう思い。

もう一昔前の番組になりますが「トリビアの泉」や「ボキャブラ天国」、演出にヤラセがあるとして終わってしまった「ほこxたて」、「あるある大辞典」などは、きちんと「作りこむ」ことで視聴者を楽しませてくれていたなぁと懐かしさを覚える2018年です。ああいう誰もが楽しめる番組がまた生まれてくることを期待してやみません。


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Comments 1

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シバイタロカ

同感でつ

バラエティ番組だけぢゃなく、他の類の番組でも方向性?というか...が安易なのを良く感じます。裏での流れや大人の事情やらが想像できてしまうです。

2018/02/09 (Fri) 00:37
日々の雑感