今更?今こそ?古き良きVU計について。
ポスプロ方面ではラウドネスメーターの話題でもちきりですが、今もVU計は現役です。
多分まだまだ当分スタジオから消えることはないでしょう。
僕はVU計が無いと録音もミックスも出来ないくらいVU計が体に染み込んでるわけですが、VU計が有るとピークメーターに惑わされずコンプやEQを操作でき、針の振れ具合から音圧を客観的に計りながらミックスできるので非常に役に立ちます。
ところがDTM全盛の今ではどの機材もDAWもメーターといえばピークメーターばかりで、VU計を知らない人も多いみたいです。
▼SAIFAM製のVU計 昔の音響機材には必ずVU計がついていた。

VUという単位はVolumeUnitの略で、米国のベル研究所、NBC、CBSの三者共同開発による規格で1939年5月から実用化されました。 そもそもは当時、音声伝送路で一般的だったインピーダンス600Ωラインに流れる信号の電力表示用に開発されたものでした。600Ωラインといえば古いスタジオエンジニアならピンと来るでしょうが、これは元を正せば電話で音声を最も効率良く伝送するために導かれた規格です。
当時、電話で音声を長距離伝送するのはまだまだ発展途上の技術で、長距離伝送での信号減衰やS/N比の改善などの研究の中で測定器として生まれたのがVU計です。
画期的だったのは流れる信号の電力実効値(RMS=二乗平均値)と聴覚的な音量をおおよそ一致させて表示することができるという点で、これは放送機器や録音機器、電話回線など「音を効率良く伝送させる技術」を研究していた電気技術者に非常に都合のいい指標でした。
電力値と音量を1つのメーターで見ることを可能にした秘訣は、VU計の針が入力された電力の99%を指し示すまでの時間を300msというトロくさい振れ方にすることで実現しました。
信号の実効電力と聴覚的な音量がおおむね一致して表示できるという画期的な指標としてVUは規格化されたわけですが、注意すべきは「VUは決して聴感覚を優先した指標ではない」ということです。聴覚的音量が一致するというのはあくまでオマケというか副産物であって、基本的には機器がオーバーロードや過変調しないように監視する「電気屋的」な存在意義によるメーターだったということです。
当時の放送や録音の技術者は、トム・ダウドやジョージ・マッセンバーグのように優秀な電気技術者であることも多く、VUはそうした技師と親和性の高い必須の指標だったのです。
(余談ですが電力と音量を指し示すVU計は、ただの電力計メータとは違い、針の振れる速度や振りブレの無いことが重要な測定機材です。ちゃんとした規格品はその針の振れ方をゼンマイバネなどのメカニカルなダンピングで実現しており非常に精密な計測機材のため、技術的にも作れる会社は限られるそうな。また、SIFAMやYamakiなど正確なVU計の目盛りには電波の変調度も同時に監視できるよう0VUを100%として電波の変調度を目盛りに刻んであるのですよ。気づいておられましたか??)
ちなみに僕は機械式VU計マニアです。
あの音に合わせて振れる針を眺めていると落ち着いてリラックスできます。
そして秋葉原のジャンク屋でVU計を見かけるとつい買ってきてしまう癖も。家には買ってきたSAIFAMやTEACのVUがゴロゴロ転がっていて・・・そのうち全部ちゃんとケースに収めて作ってやろうと思います。
さて、機械式のVU計を持っていてもプラグインのメーターが欲しい時もあるのでございます。
例えばMacBookProを使ってスタジオ以外の場所でProtoolsを走らせる時、例えば同録やライブレコーディングなどの際ですが、VU計を持っていくのがメンドクサイこともあり、プラグインを探しておりました。
ところが、VU計を自称するプラグインの多くが、実機とかけ離れた動作をするため、プラグインのVU計はつかえないな・・・とあきらめておったのですが、先日素晴らしいVU計プラグインを見つけました。
▼ちゃんとVU計として使える「STEREO CHANNEL」
http://sleepytimerecords.com/

Sleepy-Time Records製のVSTプラグイン「STEREO CHANNEL」だ。
まずもって見た目がよろしい!!特にオーソドックスで見慣れたVU計のビジュアルを正確に再現し、付加機能もキレイなGUIでわかりやすく配置しているあたり 「開発者グッジョブ!!」と伝えたい。
リファレンスレベルも -24 ~ -6 dBFSの間でキャリブレーション可能で、M/S/L/R各成分の検聴機能、位相計まで付いているのでミックスの品質管理に非常に便利である。
便利な付加機能の一つに「Center X-Over」というツマミがあり、ここで設定した周波数以下を強制的にモノラル化する機能が付いている。ステレオソースで定位がフラフラして落ち着かない音を通せばタイトな低域を作ることも可能だ。
プラグインの説明書のPDFもしっかりと書かれており(もちろん英語だが)、VU計や位相型の時定数、針のオーバーシュート率、ピークメーターのキャリブレーション閾値、L/R及びM/S信号のPAN LAW値、各機能のシグナルフローまで記載されていて、音に精通したプログラマーがちゃんとした根拠を元に作っているプラグインだと分かる。 技術仕様書的な部分が書かれているので適当に作ったプラグインでない安心もあり大変好感度が高く、信頼も置ける。
実際SAIFAMのVU計と比べて見たのだが、非常に正確にシミュレート出来ていて、多くのプラグインVU計を試した僕としては、ここまで再現度の高いVU計を作った開発者をマジリスペクトです。
あまりに嬉しくて、早速実際に自宅のSAIFAMメーターを撮影して比べてみました。
▼SAIFAM製VU計とプラグインVU計の針の振れ方を検証した。
どうですか!この再現性。
これでポーラリティ管理やキャリブレーションレベルも自由に変更できるのでマスタリング用途にも対応可能でまじ凄い。
Protoolsユーザーは残念ながらVSTプラグインをそのまま使用することは出来ないので、FXpansion社のVST-RTAS Adaptorを別途購入して変換する必要がありますが、是非おすすめのプラグインです。
多分まだまだ当分スタジオから消えることはないでしょう。
僕はVU計が無いと録音もミックスも出来ないくらいVU計が体に染み込んでるわけですが、VU計が有るとピークメーターに惑わされずコンプやEQを操作でき、針の振れ具合から音圧を客観的に計りながらミックスできるので非常に役に立ちます。
ところがDTM全盛の今ではどの機材もDAWもメーターといえばピークメーターばかりで、VU計を知らない人も多いみたいです。
▼SAIFAM製のVU計 昔の音響機材には必ずVU計がついていた。

VUという単位はVolumeUnitの略で、米国のベル研究所、NBC、CBSの三者共同開発による規格で1939年5月から実用化されました。 そもそもは当時、音声伝送路で一般的だったインピーダンス600Ωラインに流れる信号の電力表示用に開発されたものでした。600Ωラインといえば古いスタジオエンジニアならピンと来るでしょうが、これは元を正せば電話で音声を最も効率良く伝送するために導かれた規格です。
当時、電話で音声を長距離伝送するのはまだまだ発展途上の技術で、長距離伝送での信号減衰やS/N比の改善などの研究の中で測定器として生まれたのがVU計です。
画期的だったのは流れる信号の電力実効値(RMS=二乗平均値)と聴覚的な音量をおおよそ一致させて表示することができるという点で、これは放送機器や録音機器、電話回線など「音を効率良く伝送させる技術」を研究していた電気技術者に非常に都合のいい指標でした。
電力値と音量を1つのメーターで見ることを可能にした秘訣は、VU計の針が入力された電力の99%を指し示すまでの時間を300msというトロくさい振れ方にすることで実現しました。
信号の実効電力と聴覚的な音量がおおむね一致して表示できるという画期的な指標としてVUは規格化されたわけですが、注意すべきは「VUは決して聴感覚を優先した指標ではない」ということです。聴覚的音量が一致するというのはあくまでオマケというか副産物であって、基本的には機器がオーバーロードや過変調しないように監視する「電気屋的」な存在意義によるメーターだったということです。
当時の放送や録音の技術者は、トム・ダウドやジョージ・マッセンバーグのように優秀な電気技術者であることも多く、VUはそうした技師と親和性の高い必須の指標だったのです。
(余談ですが電力と音量を指し示すVU計は、ただの電力計メータとは違い、針の振れる速度や振りブレの無いことが重要な測定機材です。ちゃんとした規格品はその針の振れ方をゼンマイバネなどのメカニカルなダンピングで実現しており非常に精密な計測機材のため、技術的にも作れる会社は限られるそうな。また、SIFAMやYamakiなど正確なVU計の目盛りには電波の変調度も同時に監視できるよう0VUを100%として電波の変調度を目盛りに刻んであるのですよ。気づいておられましたか??)
ちなみに僕は機械式VU計マニアです。
あの音に合わせて振れる針を眺めていると落ち着いてリラックスできます。
そして秋葉原のジャンク屋でVU計を見かけるとつい買ってきてしまう癖も。家には買ってきたSAIFAMやTEACのVUがゴロゴロ転がっていて・・・そのうち全部ちゃんとケースに収めて作ってやろうと思います。
さて、機械式のVU計を持っていてもプラグインのメーターが欲しい時もあるのでございます。
例えばMacBookProを使ってスタジオ以外の場所でProtoolsを走らせる時、例えば同録やライブレコーディングなどの際ですが、VU計を持っていくのがメンドクサイこともあり、プラグインを探しておりました。
ところが、VU計を自称するプラグインの多くが、実機とかけ離れた動作をするため、プラグインのVU計はつかえないな・・・とあきらめておったのですが、先日素晴らしいVU計プラグインを見つけました。
▼ちゃんとVU計として使える「STEREO CHANNEL」
http://sleepytimerecords.com/

Sleepy-Time Records製のVSTプラグイン「STEREO CHANNEL」だ。
まずもって見た目がよろしい!!特にオーソドックスで見慣れたVU計のビジュアルを正確に再現し、付加機能もキレイなGUIでわかりやすく配置しているあたり 「開発者グッジョブ!!」と伝えたい。
リファレンスレベルも -24 ~ -6 dBFSの間でキャリブレーション可能で、M/S/L/R各成分の検聴機能、位相計まで付いているのでミックスの品質管理に非常に便利である。
便利な付加機能の一つに「Center X-Over」というツマミがあり、ここで設定した周波数以下を強制的にモノラル化する機能が付いている。ステレオソースで定位がフラフラして落ち着かない音を通せばタイトな低域を作ることも可能だ。
プラグインの説明書のPDFもしっかりと書かれており(もちろん英語だが)、VU計や位相型の時定数、針のオーバーシュート率、ピークメーターのキャリブレーション閾値、L/R及びM/S信号のPAN LAW値、各機能のシグナルフローまで記載されていて、音に精通したプログラマーがちゃんとした根拠を元に作っているプラグインだと分かる。 技術仕様書的な部分が書かれているので適当に作ったプラグインでない安心もあり大変好感度が高く、信頼も置ける。
実際SAIFAMのVU計と比べて見たのだが、非常に正確にシミュレート出来ていて、多くのプラグインVU計を試した僕としては、ここまで再現度の高いVU計を作った開発者をマジリスペクトです。
あまりに嬉しくて、早速実際に自宅のSAIFAMメーターを撮影して比べてみました。
▼SAIFAM製VU計とプラグインVU計の針の振れ方を検証した。
どうですか!この再現性。
これでポーラリティ管理やキャリブレーションレベルも自由に変更できるのでマスタリング用途にも対応可能でまじ凄い。
Protoolsユーザーは残念ながらVSTプラグインをそのまま使用することは出来ないので、FXpansion社のVST-RTAS Adaptorを別途購入して変換する必要がありますが、是非おすすめのプラグインです。
- 関連記事