とある音屋の日常 「C3PROJECTスタッフBlog」

サウンドエンジニア、サウンドデザイナーとしてレコーディングからPAまで音の仕事ならなんでもおまかせC3PROJECTの日常。

ラウドネス基準による制作についての私見。 

我々のミキサーの間ではようやくラウドネス関連の話題が本格的に盛り上がってきたわけですが、個人的には比較的早い段階からラウドネスに関していろいろと勉強したり、実際にミックスでやってみたりと準備してきたので、ドンと来い!なC3PROJECTです。

周りを見ているとラウドネス導入を黒船来航のように不安をもって構えているようですが、しっかりと勉強して、ラウドネスメーターの挙動を知れば知るほどわかってくるのは、ラウドネス規制が目指すのはあくまでプログラムの平均的音量感であって、ダイナミクスや瞬時値の規制ではないということです。

私はアニメや映画など、比較的ダイナミクスの大きいと言われるプログラムのミキサーでもありますが、アニメや映画などのダイナミクスの必要な作品であっても基本的にはインテグレートラウドネス値(プログラム開始~終了までのラウドネス積算平均値)を-24LKFsに収めるのは、コツさえ覚えればそんなに難しいことではないように感じています。

▼ラウドネス計測プラグイン NUGEN VisLM

※写真撮影当時はITU-R規格で運用していましたが現在はARIB TR-B32規格で運用中です。
画像 706

ラウドネス基準に適合したプログラム制作での個人的な感覚では、基本的にはダイアログノーマライズの考え方で、セリフがモーメンタリラウドネス値で-24LKFsになるよう作ります。ただ、アニメや映画は作品上どうしてもダイナミクスが激しく動くアクションシーンなどがあり、平時のダイアログのみでインテグレートラウドネス値を-24LKFsとしてしまっていると、アクションシーンなど盛り上がったシーンでインテグレートラウドネス値が一気に跳ね上がってしまいます。
この現象でインテグレートラウドネス値が上昇するため、どうしてもダイナミクスレンジの広いアニメや映画では平時のダイアログレベルを若干下げ目に作る必要があります。

この点についてよく誤解が有るようですが、平時のダイアログレベルを「下げ目に作る」というのを、他のプログラムより小さく聴こえるじゃないか!と無闇に恐れる必要はあまり無いかと思います。

というのも、ラウドネス規制の主な目的は、プログラムープログラム間の音量差問題の解決にあるからです。

どういうことかお分かりいただけるでしょうか?もう少しくわしく解説して行きましょう。



■人間の聴覚は音量低下に対して鈍感である。


平時のダイアログレベルを下げ目に作っても他のプログラムと同じ音量感になるのか?と不思議に思うかもしれませんが、ラウドネスの根拠となる人間の音量に対する心理的聴覚特性をしっかりと知れば納得できると思います。

人間の心理的聴覚特性において、音量変化を不快と思うまでの閾値は、上幅よりも下幅に大きいのです。

つまり、音量の上昇には敏感だが、音量の低下には鈍感なのです。

同じ10dBの変化であっても、マイナス10dBは許容出来るが、プラス10dBは不快と感じる心理的聴覚特性がラウドネス規制の根拠なのです。

視聴者に届くコンテンツ全てがラウドネス基準に適合していれば、必然的に全てのコンテンツはインテグレートラウドネス値-24LKFsとなりますので、各プログラムは絶対的に同じ音量感となり、たとえ平時のダイアログレベルが多少小さくとも、積算平均でのプログラム間の音量が大きいとか小さいと言う問題は基本的に解決されているのです。


ちなみにインテグレートラウドネス値はプログラムの開始~終了までの積算平均値なので、尺が長ければ長いほどその値は動きにくくなります。

ですから、特に映画のような尺の長いプログラムでラストだけアクションシーンで盛り上がるような場合には平時のダイアログレベルはさほど下げる必要は無く、逆に常にアクションシーンが目白押しな作品は、アクションシーンのモーメンタリ値を-24LKFsに近づけて制作するだけで良いわけです。

つまるところ、レベルの大きなところが全体でどれくらい有るかによって、平時のインテグレートラウドネス値を上手に配分してやれば良いわけです。

結果としてラウドネス基準適用前のプログラムと比較した場合には、ラウドネス基準適用のプログラムは相対的にどうしても小さめに聴こえますが、それはレベルの基準規格が違うので当然の結果であり、そこを思い悩むのは全く意味がないことだとお分かりいただけると思います。大事なのはラウドネス基準で制作されたプログラム同士はレベルショックなく視聴できるという一点なのです。

ちなみにラウドネス規制で納品時に記載が義務化されるなど、特に重要視されるのもプログラムの開始~終了までの積算平均であるインテグレートラウドネス値ですが、この積算平均値さえ-24LKFsとなっていれば途中のダイナミクスレンジはどうなっていようと基本的には合格なのです。

VU基準時代とはまた違ったレベルの管理のコツが必要となりますが、スタジオでのモニタリングレベルをしっかりと音圧計で80~82dBSPLに管理して、自身の耳の感覚と、モーメンタリ値とショートターム値からレベルを読み取り、コントロールする感覚を掴みさえすればさほど難しいことでは無いかと思いますので、個人的な愚見ではありますが、皆様の作業の一つの参考となればと思います。

category: 基礎技術・知識

thread: DTM、宅録、ミックス、レコーディング、機材 - janre: 音楽

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我々のミキサーの間ではようやくラウドネス関連の話題が本格的に盛り上がってきたわけですが、個人的には比較的早い段階からラウドネスに関していろいろと勉強したり、実際にミックスでやってみたりと準備してきたので、ドンと来い!なC3PROJECTです。周りを見ているとラ?...

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2012/05/20 08:03

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