とある音屋の日常 「C3PROJECTスタッフBlog」

正しい平衡-不平衡変換とアッテネーション

2011/04/03
基礎技術・知識 0
業務用音響機器と民生機器を接続するときに付きまとうメンドくさいアレ。
「+4dBu」と「-10dBV」の変換も有るけど、それより先にまずは回線を物理的に接続する必要がある。

業務用音響機器は基本的にバランス(平衡)接続なのに対し、民生機器はコストダウンのためにほぼ100%アンバランス回路が採用されているのでアンバラに変換する必要がある。
(バランス、アンバランスの詳しい解説は「言わせんな恥ずかしい」レベルなので割愛するが、ざっくり言うとアンバランスが1本の信号線で対グランドとの電位差で信号を伝送するのに対して、バランスは2本の信号線を使って対グランドに対して正相(ホット)と逆相(コールド)の信号を伝送し、受け側でコールド側を位相反転しホットの信号と加算する伝送方式。コールドの位相反転により伝送経路に飛び込んだEMノイズは逆相加算されるので耐ノイズ性が高い。意味がわかんない人は別にそれでも死なないのでイイと思います。)

最近はコストダウンの嵐でバランス回路にトランスバランスを採用する機器はほんとにごく限られているのですが、ホール録音などに行く時には照明電源系が音響信号系に干渉してくることがザラにあるので、そういった電磁的干渉を「縁切り」する意味でもトランスバランスを使います。(機器自体がバランスであっても電子バランスの場合「縁切り」が出来ていないので受け、出しの両端に600Ω:600Ωの縁切りトランスを挟んで対処します。)


さて本題に戻って、バランス-アンバランスの変換ケーブルを使うときの注意ですが、かつては電子バランス採用の機器で 1番GND と 3番COLD をショートさせた変換を使うとブッ壊れるというとんでもない製品がありました。私は幸いそういう機器にあたったことはないのですが、以前のBEHRINGER製品の一部にそういう物があったとか何とか。。。
そこで基本に立ち返ってバランス-アンバランスの変換についてまとめてみました。



■バランス(平衡)-アンバランス(不平衡)変換 の4パターン

・パターン1
  トランスバランス出力 > アンバランス入力
    1(GND) > Sleeve
    2(HOT) > Tip
    3(CLD) > Sleeve
   GND-COLDをショートしてアンバランスへ。 オープンの場合低域がスッカスカになる。

・パターン2
  電子バランス出力 > アンバランス入力
    1(GND) > Sleeve
    2(HOT) > Tip
    3(CLD) > オープン
   GND-COLDはオープン。 普通はショートでも良いのだが、万全を期すならオープン推奨。ショートの場合ブッ壊れる機材が稀にある。

・パターン3
  アンバランス出力 > トランスバランス入力
    Tip   > 2(HOT)
    Sleeve  > 1(GND)と3(CLD)
   SleeveをGNDとCOLDへパラってショートしてアンバランスへ。 1-3がオープンの場合低域がスッカスカになる。

・パターン4
  アンバランス出力 > 電子バランス入力
    Tip   > 2(HOT)
    Sleeve  > 1(GND)と3(CLD) でも良いし オープンでも良い
   1-3をショートするかオープンするかは適宜判断。


■「+4dBu」機器からから「-10dBV」機器へのアッテネーション


緊急対応的には、とりあえず送り出し系統のマスターを絞る。
単位系がdBu(0.775V=0dBu 0.775Vは600Ωで1mWを起電する)とdBV(1V=0dBV)で違うので、数字だけ見たら14dBの差があるが、実際はもうちょっと差が小さい。電圧視点で見ると、12dBほどの差で、実用的に考えると現場によく落ちている-20dBのアッテネーター(PAD)をはさめば良い。

マスターを絞るのとATTを挟むことの違いは、S/N比の問題。
基本的に機材は定格で入力、定格で出力して一番良い状態の性能を発揮する。つまり、マスターを絞ってヘッドマージンを余計に取っている状態では、回路中のフェーダー位置によるが、機材自体の潜在的なヒスノイズが相対的に上がってくる。なので定格、つまりノミナルで出力した音声信号をアッテネーターで絞ることでS/N比を最良の状態に保ったまま民生レベルに減衰させる。とりあえず一番これがトラブルがない。

個人的に+4、-10への変換で使う-20dBのATT以外にもあると便利なのは、「-60dB」のATT。ラインをマイクレベルまで減衰させることはかなり稀だがENG現場では何故かよく遭遇するシチュエーション。 あとは-6dBと-12dBなどが揃っていると、もう鬼に金棒。


ちなみにdBu=dBv(0.775Vを基準とする)は線路のインピーダンスを問わないが、dBmは「電力1mW」を基準とした電力の絶対値なので、音声の600Ω線路で使う限りは結果的に電圧0.775Vを基準とする事になるので、ほぼdBuと変わらない。(もちろんZ=600以外であれば全く違ってくる。) dBm の「m」は「1mW」の「m」だと覚えておくと他と混同せずに済む。ちなみに音声経路が600Ωなのは、音声周波数を交流信号として捉えたとき、最も効率よく伝送できるよう研究しつくされた結果が600Ωだったという経験的数値が由来。

民生機から業務機へ音を送る場合はメンドクサイ。レベルよりインピーダンスが問題になる。
機材の組み合わせで出し受けがロー出しハイ受けの鉄則を破る場合があるので、ラインコンバータや10k:600のトランスも用意があれば良い。まぁ経験上トランス挟まなくてもなんとかなる。技術的には機材のオーバーロードを招く状態なので本来NGで、精神衛生上も気持ち悪いけど、経験上は最近の機材であれば特に影響は出ないと思う。やや音が軽い気がする場合もEQでなんとかなる範囲。 もちろん自己責任。トランス挟むのを推奨します。



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