正直な所 「同人」 というコンテンツがマスコミに注目され初めて以降、「同人=コンテンツ産業」として祀り上げられたこと、そしてそれに「ノセられる同人の人々」の浅はかさには常々疑念や異議を抱えています。
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■ 同人?そんなのただの流行りモノ。原価の安い使い捨て商材。それが本音だと思う。従来、同人は同人マーケットだけで完結していた独自マーケット。
閉鎖的市場だった同人が、一部の目ざとい商人の手で商業マーケットに食い込んできたのが今日の現実。
その結果新しい産業として恩恵受けてる人もいるからあまり言えないのだけど、でも、その実態をちゃんと知れば今日の同人なんて吐き気がするほどクソくらえな市場に成り下がったと思う。
誤解して欲しくないのは、
決して同人やってる人がクソ食らえなわけじゃなくて、同人周辺業界に渦巻いてる目論見と、その結果起きてる悪影響という「同人周辺事情」についてクソ食らえだと思ってる。
例えば
同人を 「安価なコンテンツ源」 としか思っていないクソ食らえな企業があふれかえったこと。
それこそ100円均一みたいなノリ。同人やってる人間集めて、小遣い程度の金を握らせて、同人を商用利用する。もちろん作り手を育てようとかコンテンツを保護しようなんてことは考えてないし、目先の利益重視で 「とりあえず流行ってるから同人取扱始めました」 ってレベル。
同人が企業に目をかけてもらってプロに昇華するのは決して悪く無いと思う。有って良いと思う。
しかし単に原価の安い商材として「有るから売ります」では良い芽も育たない。 芽のあるコンテンツを育てて優良なものに仕上げるという一昔前までは当たり前のことがなされていない上に、コンテンツの買い叩き。
同人なんて使い捨てで、とりあえず扱って商業マーケットの片隅にむりやり突っ込んでおいて、無責任なコンテンツの叩き売り的を日常茶飯事にしてしまっている。
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■ 「商業」と「 同人」はただ交わることなく進む並行世界で有るべきだと思うそもそも同人は趣味の家内制手工業であって、一般市場に出まわるもんではないからこそ「同人」という価値があるはずなんだけど・・・。
お互いのマーケットに食い込んでこない 「棲み分け」 があってこそ、商業、同人のそれぞれの健全性とか発展性があると思います。要するに多様性。
商業は商業でしかできないこと、同人は同人でしかできないことを厳然と暗黙の中で棲み分けてるからこそ、健全性、多様性、発展性があるのに、この絶妙のバランスを崩す安易な有象無象の存在が全体を脅かしてるのが現状なんじゃないだろうか?
自分は商業側の中から見てるわけだが、正直共倒れするのもカウントダウンに入ってると思う。
その最たるものの一つが価格破壊。
安易に同人を商業の場に引きずり上げて食い物にしてるクソッタレな企業のせいで、同人をやってる人間には変な勘違い起こす輩も多い。 同人から商業へ大きく発展した例もあるし、そういったアメリカンドリーム的な希望が同人界隈に渦巻いたせいで、小遣い程度を握らされただけでプロの仲間入りをしたような錯覚を起こして、「いくらででも仕事引き受けます」なんて軽々しく言い出すやつの出現。これが最高にクソ食らえ。
特にプロ志望で同人やって、仕事につながるかもしれないとホザいて「いくらででも仕事引き受けます」とか言い出す奴は、ホントに死ねばいい。 その行為が自分の10年後の首絞めてることに気づいて欲しい。
「同人を食い物にしてる奴」と「同人やって食われてる奴」が、「商業と同人」の両マーケットを同時にぶっ壊してる。このことに早く気づいてくれないと、クリエイターは近いうちに職業として完全に立ち行かなくなる。
業界は今、そうなる入口を大きく一歩またいで二歩目を歩き出してるくらいだろうか。
コンテンツ業は半分は作り手の 「センス」 に対する評価が金額になるので、明確な原価は無い。
だから値段もピンキリになるわけだけど、極端な例、楽曲制作では、1曲数百万の作曲家から数万円の作曲家までピンキリでも、少なくともプロの世界では、どんな低予算な案件でも割れないですわ・・・という最低限の暗黙のラインがある。
ぶっちゃけた話、クライアント企業から発注を受けた代理店が楽曲発注の時に 「低予算で急ぎ案件だしやっつけ仕事で良いよ。相手も予算ないのわかってるから~。」 と言って、作曲家がループ素材で適当に数時間で仕上げたラフな仕事でも、この仕事の相場を知らない人からすれば結構な額なのである。 でもそれは決して法外な値段じゃなく、この業界の健全な相場のバランスがとれる額なのです。
しかし、そこに勘違いした同人が入り込んでくると、下手すると桁が2つ違う値段で「仕事やります!」とか言い出すので笑えない。
商業からすれば中途半端な品質の物を、プロだと称してケタ違いのクレイジーな値段でやり始めちゃうんだから、プロは卒倒してしまう。 コンテンツ品質を見分けなれてないド素人のクライアントなんかは、騙されてこれに飛びついてしまう。 100円均一で品質にグダグダいう人がいないのと同じように「値段に比してはまぁいいか」と判断してGOサインを出してしまう・・・。そうなると商業でちゃんとやってるまっとうな人まで暴力的なまでの値段競争に巻き込まれてぶっ倒れてしまう。
生き残りと顧客獲得を賭けた「値下げのチキンレース」に歯止めがかからない悪循環。 そして今日に至る。
こういう悪影響が目に見えて増えてきたのが2000年頃だろうか・・・?同人さんたちがインターネットを使って情報発信を始めたころから徐々に増えてきて、ここに来て爆発的に顕著になった。
こうした本質を分かってるプロは同人をどうしても手放しでは認められないし、嫌う向きも決して少ないとは言えない。
大事なことなので重ねて言うのですが、これは決して同人自体の存在をどうこういう訳じゃなく、同人・商業の境界線界隈で節操ないことやってる人々と、その結果の悪循環についての批判意見です。
だから私は気の許せそうな同人屋さんには 「先々ちゃんと成功したいなら変な安売りをするな。同人は同人。商業は商業で完全に切り離してやれ。」 って折々言い続けてる。
たとえお金が出ると誘われても、小遣いごとき報酬で同人やアングラを一般市場に持ち込もうとするのは、先々成功したいなら将来の自分のクビを絞めかねない行為だし、コンテンツ産業の継続にとって破滅的に不健全な行為だと思っています。
商業、同人という区別に上下関係はないと思います。
でも同人がプロへの登竜門だと思って同人やってる人も多いのが実情。 でもそれ、間違ってると思います。
同人はプロや商業への登竜門でもなんでもない、完全な別世界。絶対に交わるようなことがあったらいけない世界だと思います。商業と同人の垣根をまたいで、その垣根を崩そうとすれば、将来の自分の居場所を壊してるってこと。だから自分のクビを締めてるよ。 プロになりたい、もっと売れたいと思うならなら同人はさっぱりやめて、潔く土俵を商業に移せ。もっと自分を高く売らないと、所詮同人と言われて終わってくよ。 ・・・と。
余談だけど、商業マーケットのコンテンツにマンネリ感があるのも事実。
同人みたいな突き抜けた個性や、偏執的なまでの表現の面白さが無いですからね・・・。
そんな現状を見れば同人を一般マーケットに持ち出したいと思う人がいてもおかしくないのは十分理解できるんですが、同人が同人で在り続けられる理由は、閉鎖されたガラパゴスなマーケットだからなのではないのですか?それを大衆化したら同人だってつまらなくなっていきますよ。 あまつさえ、同人を金儲けに使おうなんて人が増えてる今は、同人文化と同人の価値をブっ壊してるようなもんだと思います。
だから、商業と同人は絶対に交わらせたらダメなものなんだと思うんです。
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