とある音屋の日常 「C3PROJECTスタッフBlog」

サウンドエンジニア、サウンドデザイナーとしてレコーディングからPAまで音の仕事ならなんでもおまかせC3PROJECTの日常。

【備忘録】現場でよく使う各種ネジ径 

地味な話題ですが、現場に出ていると直面する「地味に痛い局面」が、スタンドなどのネジ径。

万全の用意で行ったつもりが


「スタンドにホルダーが付かねぇ・・・」



など、現場人ならネジ径の思わぬ落とし穴問題で歯がゆい思いをしたことが一度や二度はあるはず。


私は必ず現場にこれらの変換ネジを一式揃えた「変換セット箱」を持っていきますが、それぞれの名称とサイズについてはよく覚えていなかったので備忘録として記事にしておきました。



3/8インチ(AKG規格)

K&M ST210(標準ブーム)やST259(ショートブーム)のネジ径。ヨーロッパ系。
多分一番よく使うネジ径じゃなかろうか。


5/8インチ(SHURE規格)

SHURE SM58のホルダーなどの親指太さ程度の太いネジ径。
PA現場では5/8と3/8の変換ネジ(通常AKG-SHURE変換)があると非常に重宝する。


1/4インチ

カメラ三脚など撮影現場で標準のネジ径。K&Mのマイクスタンドのネジ径3/8と比べると一回り小さい。
撮影現場では1/4と3/8の変換があると共用できて非常に重宝する。
ハンディPCMレコーダーなどのホルダー径は1/4であることがほとんどなので、カメラ用ミニ三脚などが使える。



〜〜〜ここから下の規格は今時あまり見かけない〜〜〜


1/2インチ
あまり見かけないがヨーロッパ系の古い機材で時々見かける。


BTS規格(1/2インチ,Broadcasters Technical Standardの略)

NHKの制定した国内規格で古い機材に採用されていることが多いが、もはやあまり見かけない。
古いスタジオ以外では現場で見かけることはほぼないだろう。
SONY C−38などがこの径で、5/8よりも一回り太い。
規格としては2001年に廃止され死につつある。



・・・ということで、覚えておくといつか役立つネジ径のお話でした。

ちなみにAmazonで「マジックアーム」「クランプアーム」などで検索すると、撮影系の小物ですが大変便利な多関節アームが数千円で購入できます(撮影系なので1/4インチネジです)。これを2、3本持っておくと、マイクをややこしい場所にも楽々仕込めるので大変便利ですのでぜひオススメです。
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category: 音響機材関連

thread: プロのお仕事 - janre: 就職・お仕事

SENNHEISER MKH416 vs MKH8060 

知っての通りSENNHEISER MKH416は、現場で遭遇するあらゆるハードな環境に耐えうる性能と実績がある。

・狙った音を明瞭に収録する指向性と、音質の両立
・とにかく頑丈。壊れない。不調知らず。

この2点を実にシンプルに実現しているがゆえの「416信仰」。
特に頑丈さにおいては感心するばかり。自身の実体験でも、落としても、ぶつけても、-40度の冷凍庫の中で冷やされてからの夏の炎天下への移動でも、突然の雨に濡れてファンタム電源がショートしても、まぁとにかく壊れない。それでいてしっかりと明瞭な音を収録する驚異のコンデンサマイクである。

しかし最近のハリウッド界隈でのフィルムプロダクションでガンマイクといえばSchoeps MK41+CMC6というのが定番になってきている。一方、日本でMK41を使っている人がほとんど居ないのは根強い「416信仰」のせいで、他を模索することすら放棄している気配すらある。

▼ガンマイクの王様 SENNHEISER MKH416
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日本ではプロダクションサウンド(いわゆる同録) における機材更新は緩慢で、20、30年前で止まっている会社も多い。映像屋さんの機材更新は活発であるが、ことサウンドに関してはフリーランスですらあまり活発でないように思う。

さて、C3PROJECTでも映像制作におけるプロダクションサウンドを担当するときは、同録のセリフ収録にSENNHEISER MKH416を使うわけですが、先述のようにハリウッドのフィルムプロダクション現場ではメイキング映像などを見るに、かなりの割合でSCHOEPS MK41が使われているようです。

ハリウッドでMK41が選ばれる理由は、MKH416と遜色ない性能でありながら、MKH416が全長250mm 重量175gに対し、MK41は全長116mmと短く、重量70g弱と半分以下の軽量であったことが大きいと思う。全長、重量ともに半分以下なのである。さらに言えば、多分それ以上に、マイクのスリットが416系は全長の大半を占めているが、MK41のスリットは先端部だけなので、先端部のみ覆うようなボール型風防で良い。416では大きく重いカゴ型風防が必要だが、これは大変重く、負担が大きい。SCHOEPS MK41は風対策が非常に楽なのである。

MK41のような軽量小型化の恩恵は、3メートルを超える長いブーム(マイク竿)を扱うブームオペレータにとっては大きなメリットになる。3メートルを超えるブームになると、テコの原理でケーブルの重さすらばかにならない負担になる。(C3PROJECTではケーブルにCANARE L4E6Sを使っていましたが、先日から軽量化のためにL4E5Cを使っています。)


ちなみにSCHOEPS MK41のお値段、日本円で30万円弱。

ちょっとおいそれと機材更新できる値段ではありません。

だからというわけではありませんが、今回はSENNHEISERみずからが「416の後継である」とアナウンスするMKH8060を試してみました。

今回は東京は半蔵門のSystem5様を通じて8060のデモ機をお借りいたしました。

▼届いたMKH8060の一式。 サスペンションなどはない。
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▼416と8060の比較ではこのようにセッティングしてブームに取り付けた。
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ちなみにお借りした8060は、この5月から毎週土曜深夜0時ごろから放送の 朝日放送「Times」(公式サイト)(全8回放送)の収録にて使用させていただきました。このドラマ「Times」の音は、当方C3PROJECTが収録、音響効果、MAまで担当させていただきました。OA後半年間は見逃し配信としてYouTubeでも配信が決まっておりますので、ぜひご覧ください。

今回の収録では416と8060を上記セッティングにて、HA/RecorderにZOOM F8 、ワイヤレスにSENNHEISER EW112P x3波を活用しました。


以下、実際に現場で使った感想、416との比較のレビューです。

・軸上の音源(声)に対して416と8060で音の印象に大きな差は無い。

・軸上の声の収録という条件では416、8060の音質に大きな差は感じられないが、よく聞くと8060の方が500Hzぐらいから下が豊かに聞こえる。

・416では荒っぽく雑になる中低域が、より豊かで密度が高くツヤのある感じ。

・416より軽いので長竿につけた時の負担が軽い

・416より短いので天井低い場所でも扱いやすい

・416よりも10dBほど感度が高く、静かなアンビ収録もHA残留ノイズを気にせずにゲインを上げられクリアにとれる。

・軸線から外れても416のように急激に芯を失って音がうすくなる感じでは無く、単純に音圧が下がるだけのように聞こえる。

・付属のスポンジ風防は密度高すぎ。明らかに音ヌケが悪くなるのでRycoteなどの開放気泡フォームが必須。



上記が大きく感じたことですが、注目したいのは指向性について。

軸外でもカラーリングなく減衰していくという公称通りだが、その特性の良さゆえに困ったことが起きまして・・・。ドラマの録音でブームを3メートルちかく伸ばして自分が役者から離れてしまうとマイクの微妙な角度を目視確認するのが困難で、マイクが音の中心を狙っているかを目では確認しづらい。416であれば軸外にあると音が痩せて薄くなるが、8060だと軸外になっていても音質は変化せず音量だけが変わってしまい、結果的にうまく拾えていない事があった。目で確認しにくい距離だと軸上軸外の判断がつきにくいデメリットはかなりの痛手に思う。

軸外特性の良さゆえ扱いづらいというのが、ドラマの現場で使って一番感じたことですが、ライブのアンビ収録などではいい結果となるかもしれませんし、長さ軽さなどは、とても好印象で買い替えに値するマイクです。逆説的で皮肉な結果ですが、失敗できないドラマの録音などには、上記のような音響特性の良さが致命的に思いました。

今のところ、長さ重さのメリットと、軸上軸外の判断がつきにくいというデメリットが拮抗していて、購入の決断ができません。8060と同じ長さ重さで、軸外の音については416と同様に音質をあえて気にしない仕様で新製品を出してくれたらいいなと思います。SENNHEISERジャパン様、本国へのフィードバックよろしくお願いいたします!




category: 音響機材関連

Roland R-4Pro をSSD化改造しました。 

C3PROJECTでは外ロケのドラマなどのレコーダーとしてRoland R-4Proを使っています。

R-4Proの基本スペックは4トラックレコーダーで最大24bit/192kでの録音可能。SEMPTEタイムコードも扱えるのでカメラと同期の必要なの同録現場に親和性の高いレコーダです。ガンマイクとワイヤレス3つをパラ素材として録音したり、ホールの三点吊とラインなどで高音質録音に使用したりと活躍しておりますが、最大の難点の一つに「バッテリーの持ちが悪い」というのがあります。

▼単体でSEMPTE TC対応し、4ch録音できるのが強みのR-4Pro
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レコーダーとしてはHAのSNも悪くなく、内臓のDSPコンプで押さえながら0dBFSいっぱいまで突っ込んで録音してもアナログ領域での音割れはしていない。よくある安価なHA回路などでは大きな入力ですぐ歪んでしまうがそういった傾向はないので安心して使える。

音質面では特に問題もなく素直で良好なR-4Proですが、とにかく電池の持ちが悪い。原因は内臓されたHDD。HDDがものすごい電力を消費している模様。録音待機で本番待ってるとあっという間にLOW BATTERYになる。 あえていうと電池の持ち以外でも使い勝手の面でノウハウ不足な機材で、実際の現場で録音に使うには操作性はいまいち・・・いまふたつ至らない機材です。

後発のR-88では改良されていると思うのですが、Rolandは演奏楽器なんかはよく出来てると思うんですが、この手の業務機器は開発者が自分で実際に使ったりして試してないの??と疑問に思う物が多いですね。


R-4Pro不満点

1.ディスプレイの取付角度

→水平置き時に見えやすいようにと40度くらいの角度をつけてるのが災いして首からぶら下げて上から覗くと自分の方に向いていないので見えない。

2.晴天屋外で見えないあらゆる表示
→ディスプレイは上記の問題と相まって輝度/コントラスト不足で外だとすごく見づらい。RECボタンの輝度が足りないから晴天時の屋外で点灯してるか点滅してるかわからない。

3.アナログリミッター回路のSNが悪い
→ONにした途端ホワイトノイズが酷い。使えないので使わない。幸いなことに内臓DSPコンプが優秀なのでそちらを使っていればアナログリミッターは特に必要ない。ただしDSPコンプのレベルやスレッショルド設定の単位がdBじゃなくてパーセント設定なのはどういうことなの・・・・

4.入力chのPANが奇数L/偶数Rで固定されてる
→RECしながら2MIXを外に送り出したいとき、1chだけL、残り2,3,4chはRへといった柔軟なルーティングが出来ないオバカ仕様。幸いにも4chパラ出し用の出力があるので、パラ出しして別のミキサーで振り分けすれば良いので、C3PROJECTでは振り分け用のパッシブミキサーを用意して対応。

5.TEST TONEジェネレートが出来ない
→R-4Proを単体ミキサーとして使おうとしても、ジェネレータがないので外部に基準信号を送れない。前もってTEST TONE(1KHz@-20dBFSなど)のファイルをR-4Proの中にコピーして用意しておく必要がある。



使っている身で自身の使用機材をコキ下ろすのは気がひけますが、良いところも不満も同じくらい見えるのはそれだけ使いこなしているということでもあります。ちなみにR-4Proの一番ファッキンな仕様は、フィールド使用を前提にしているくせに今時記憶媒体にHDDを採用していること。筐体内でゴム緩衝材でマウントされているとはいえ、同録で使う場合、シーンやカットごとでの移動や、録音しながら被写体に合わせて動くことも多く、やり直しの許されないデータを格納するにはクラッシュが不安で仕方ありません。何よりHDDという物理的な駆動を伴うメディアは電力消費が激しく、単3eneloopx8本で1時間程度しか動かず、現場をナメた仕様だな・・・ と思うわけです。

実際の現場では、実際録音が回る時間の5~10倍くらいはリハとか待ちだとかで録音待機状態でモニターしているだけになるので、1分の録音回すために10分以上の録音待機状態が続くのはザラなわけです。実際ロケに投入したところ、数カット撮影しただけで録音前にLOW BATTERY警告がでてしまって使い物にならず、常にAC電源繋いでいなければなりませんでした。


そこで思いついたのが記録メディアのSSD化。


■ R-4Proを3200円でSSD化する!


早速R-4Proを分解してみると、記録用HDDは2.5インチのPATA(IDE)でした。

今どきはSDカードなどは激安で64GBが1500円程度だったりしますのでそれを使わない手はありません。秋葉原などでPATA→メモリカード各種的な変換基板があるのは知っていたので調べてみるとAmazonでも各種買えるようなので一番安い1980円のPATA44pin→SDHCカードの基板を購入。

▼PATA44pin→SDHCカード変換基板。Amazonで1980円。
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翌日、届いた基板をR-4Proに早速組み込む。SDカードは家にある適当な余り物で、Class4の8GBとか16GBを差し込んでみました。


なんと・・・動きません。起動すらしません。


仕方ないので一旦HDDに戻して起動。そのまま電源を切らずにHDDと基板を差し替えてR-4Pro上でSDをフォーマットすればイケるかな?なんて思ってフォーマットしてみるも進捗グラフが止まったまま進行せず。

いろいろアタマを捻った結果、もしかしてSDカードの転送速度が遅いことが原因かな?と思い、カメラで使っているClass10のSDHCカード32GB(Transcend 1200円)を差し込んでみたところ完璧に動作しました!

業務に使うためには不具合があってはいけないのでいろいろな条件でチェックしてみました。
4ch90分以上の連続録音、実際の同録で多い数十秒の録音を何度も繰り返し、録音/再生/サーチなどのランダムアクセスなど完璧に不具合無く動作します。

▼フラットケーブルで繋がれた黒い基板の裏にSDカード。
下のHDDはこの後取り外しました。
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SSD化したことでバッテリーの持ちも比べ物にならないほど良くなりました。SSD化するまでは1時間ほども持たなかったのに、SSD化したことで3~4時間くらいは大丈夫な感じになり、しかもクラッシュの心配も少なくなり実用に耐えられるようになりました。

R-4Proのユーザー自体が少ないでしょうからあまり参考にする人もいないでしょうが、オススメの改造です。



category: 音響機材関連

MaagEQ4プラグイン導入!使用感などレビュー 

またしばらく更新の間隔が開いてしまいました。
色々と山あり谷ありですが、色々とお仕事させていただいておりますのは大変ありがたい次第です。
この場を借りてお世話になっている皆様には厚く御礼申し上げます。。

さて。徐々にですが手がけることが増えつつある音楽系のお仕事の場合、お外のスタジオには入っていない自分の好きなEQやコンプを使うためにiLokを持ち歩いているのですが、最近、お外のスタジオに行くと、ボチボチですがProtoolsHDXが入ってきて、私が愛用しているFocusrite LiquidMixHD(TDM専用ですでに開発停止)が使えないという現場にも鉢合わせるようになってきました。

私にとってはコンプはともかく、自分好みの質のいいEQが使えないのは大変困るので、HDXでも自宅のTDMでも使えるように新しいプラグインを最近2つ導入いたしました。

で、 買ったら即レビュー!!!!  ということで、まず本日は購入した2つのプラグイン、PluginAllianceの「elysia alpha compressor」「Maag EQ4」のうち、MaagEQ4をレビューします。

▼同時購入したelysia alpha compressor 次回にはこいつのレビューを予定しています。
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■ 特筆すべき高域の自然さ。とにかく効きの良いMaagEQ4

私が好きなEQは、AVALON VT737、Focusrite VoiceMaster、Manley MassivePassive、Pultec EQP1Aなど、声にかけても嫌味にならず高域がスッ…と伸びるEQです。逆にSSL4000やNEVE1073などのEQはギターやドラムにはよく合うのですが、声にかけるとエグいので、ボーカルを大事にしたい作業には向かず困ってしまいます。

そんな理由で私が好きな、高域がスッと伸びるEQは割と限られていて、どこのスタジオにもあるとは限らないため、FocusriteのLiquidMixHDは大変重宝していましたが、TDMが使えない場合に備えての購入でした。

MaagEQの最大の特徴と強みは40KHzまでEQ操作できる「AirBandEQ」。

これは使ってみるとわかるのですが非常に良いEQです。

▼MaagEQ4 6バンドで非常にシンプルながら、抜群のサウンドを聴かせてくれるEQだ
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MaagEQは、Sub、40Hz、160Hz、650Hz、2.5KHz、AirBandという6バンドで構成されたEQで、正直なところ650Hz、2.5KHzの2バンドに関しては大したことない(というか650と2.5KHzむしろエグい音で使いづらい)です。
(補足:Sub〜650HzはピーキングEQ、2.5KHzとAirBandはシェルビングEQ。AirBandは2.5k〜40kまでをw1octで切替)

…が! Sub、40Hz、そしてAirBandに関しては他のEQでは得られない効果が得られるEQで、広域も低域も嫌味無くブーストできて、非常に音がイキイキとしてビビットになります。

特に素晴らしいのは、AirBandのEQ操作では40KHzをブーストして行くとボーカルはスーッと嫌味無く自然な高域が明るく澄んで行き、低域の操作をしていないのに低域の芯が得られるという不思議な効果が感じられます。この感じが正に「耳で聴いた生の声」といった印象で、大きくEQ操作してもとてもEQを感じさせないナチュラルなサウンドです。

この効果は40KHzを+6dBを超えてブーストして行くと特に顕著に感じられ、音全体の勢いや明るさ、張り出しが見違えるように強くなります。6dBを超えたブーストでボーカルにこのEQをかけても不思議と耳が痛い音になったり、嫌味にならないのは、この低域にも影響する不思議なEQの効果なのでしょう。非常に音楽的で、今まで出会ったことのない音に仕上がる感じは本当にアンビリーバボーです。

また、ドラムのステムミックスにインサートしてAirBandで40KHzをEQしてみると、ハイハットのチリチリシャーンとしたアタックだけがキレイに浮き上 がってきて、空気感とともに全体の印象がブライトに仕上がり、ミキシングの中で自然と映えるようになります。他のEQではドラムの空気感を出そうと頑張っ てEQすると、中高域のバランスが変わってレベルバランスまで変わってしまったりしますが、そういったレベルの崩壊を招かずに空気感と、金物の鮮烈なア タックを引き出せるポテンシャルは特筆です。加えて低域にも影響を及ぼすAirBandの操作によって、コンプで多少ナマってしまったドラムサウンドがより耳で聞いたようなフレッシュな印象に変わるのも素晴らしい効果でした。

Subと40Hz及び160Hzに関してはこれまたいい音で、NEVE1073とManleyMassivePassiveのイイトコ取りをしたような、シルキーでツヤのある、量感豊かな低域を引き出してくれます。 特にSubをググっとブーストしてドラムやベースなどにインサートすると「ドンッ!」というブっといLOWが湧き出てきますが、これも不思議とブーミーな音にはならず、なんとも夢のようなEQです。 例えば同じような量感を求めてProtools標準の7BandEQ3で低域を持ち上げた場合は、間違いなくモワッとしたブーミーな感触も出てくるのですが、そういった 「欲しくない帯域」 を感じさせないMaagEQは、もしかすると見た目はEQでしかありませんが、中ではダイナミクス的な効果も生み出しているようにも聞こえます。

このようにMaagEQは音楽のミキシングでは特にボーカルやドラムのEQとして重宝しますが、C3PROJECTでもよく行う、ドラマ撮影などで同録してきた、役者さんの服に仕込んだピンマイクの音ヌケを復活させるのにも向いていることがわかりました。どうしても服にピンマイクを仕込むと音質的にハイ落ちしてしまうのですが、その落ちてしまった高域をキレイに復活させてくれる上に、嫌味にならずスッと伸びるMaagEQはダイアログの明瞭さが重要なMAなどポスプロ作業でも非常に良いEQだと感じました。



Protools標準の7BandEQ3は数値通りのEQ操作が得られるため、不要な帯域のカットやブーストを制御しやすい模範的で優秀なEQである反面、サウンドにミラクルを起こすようなEQとしては期待値ゼロです。

一方、MaagEQはそうした制御的なEQには全く向かないトーンコントローラ的なEQですが、感性の赴くまま欲しい印象通りに音をガラッと変えてくれます。 どちらかというとやや大雑把なサウンドメイクですが、「こういう音にしたかった!」という音に仕上げる効果は抜群ですので、ミックス時のチャンネルインサートだけではなくてマスタリングにも使える便利なEQでした。


C3PROJECTではオンラインミキシングサービスなどでも保有している豊富なプラグイン全てを使用可能です。
音楽ミックスダウン、限られた予算でのMAなど、ニーズにあったサウンドを多くの方にお届けしています。
音楽REC/MIX、アフレコ、同録、効果音作成、イベントPAなど、あらゆる音のお仕事お引き受けしておりますので、お気軽にお問い合わせくださいませ!!

C3PROJECTへのお問い合わせはこちらまでどうぞ。

category: 音響機材関連

thread: DTM、宅録、ミックス、レコーディング、機材 - janre: 音楽

T.C.Electronic BMC-2(モニターコントローラ)レビュー 

前回のBlog記事を描いてから相当長い間を開けてしまいました。
元気でやっております。C3PROJECTの中の人です。

お仕事の近況報告としては、

・民放テレビ局番組のMA、生放送音声技術
・コマーシャル・映画等の同録
・映画、各種映像系の音響効果・選曲
・吹替アフレコ
・アーティストプロモーション映像のサウンド制作
・コンシューマーゲーム、ソーシャルゲームの効果音制作
・パチンコなど遊技台関連のサウンド制作

という音の何でも屋さんとして相変わらずお仕事させていただいております。
お仕事に関してはいつでも絶賛受付中でございますので、コチラから ご遠慮なくお問い合わせください。


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さて、今日は新しくモニターコントローラを導入したので「 T.C.Electronic BMC-2 」のレビューです。

▼T.C.Electronic BMC-2 アナログ入力無し。デジタル入力が核のモニターコントローラ
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以前C3PROJECTのプライベートスタジオではミックスの中心にM-AUDIOのPROJECTMIX I/Oを使っていたため、PROJECTMIX I/Oのモニターコントロールを使っていたわけですが、先般Blogでもレビューしたとおり、AVID ArtistMix にシステムを置き換えたため、モニターコントロールを失った状態で作業していました。

モニターコントロールの重要性は言わずもがなとは思いますが、ミキシングの最中に常に一定の音量でモニタリングすることは作業品質の一貫性のために重要で、そのためにソースの切り替えや、CUT・DIMMER機能(一時的に音をOFFしたり一定量で音量を絞る機能)、モニター音量を細かく調整することのできる高性能で使いやすいモニターコントロールは不可欠です。

近年、DAWの普及でミキサー卓を装備しないスタジオが増えたため、従来、卓で担っていたモニターコントロールの機能を単体で提供するモニターコントローラーの意義、需要が高まっており、Mackie社の BIG KNOB 、Presonus社の Central Stationなどが中小規模のスタジオでもよく見かけられます。

BIG KNOB や CentralStation がブースとコントロールルームのコミュニケーション用にトークバック機能を用意したり、複数のスピーカーの切替機能を有しているのに対して、BMC-2ではトークバック機能なし、入力はデジタルのみ、出力はアナログ1系統のみという割り切りぶりは、ブースもなくスピーカーを複数置くこともなく、ミキサー卓は使わずオーディオインターフェイスのみを核とした個人宅のDAWスタジオをよく理解した製品だといえるでしょう。

その甲斐あってBIG KNOB や CentralStationと比べても非常にコンパクトでスマートなサイズに仕上がっていて、机の上でも邪魔にならない手のひらを広げた程度の大きさなのはとても好印象です。 私の環境では、机の上のAVID ArtistMixの横に置いていい具合の大きさとデザインで大変気に入りました。

▼ArtistMixより奥行きは小さい。手のひらを広げたサイズにこの高機能が詰まっているとは・・・bmc1.jpg


BMC-2はアナログ入力無し、デジタル入力に特化したモニターコントローラーで、入力仕様は、

・SPDIF(AES入力可能)
・ADAT(1-2及び3-4chまで。5ch以降の信号は取扱不可)
・TOS

の3系統を持ち、この入力3系統をアナログ出力1系統と、デジタル出力1系統に出力するコントローラーです。
(SPDIF、ADAT、TOSの各出力は、任意の1つを音量コントロール後の信号出力に設定でき、残る2つの出力は、モニターしているデジタルソースのスルーアウトとなる構成となっている。)

こうなると見方次第で高品質のDAコンバーターともとれるわけですが、あながちのその見方も間違っていないようで、実際に音を聴くと、オーディオ的にも優れた音質を持っていることがわかります。

▼BMC-2は入出力が全て背面に集約されている。DTM環境で便利なヘッドホン出力も装備。
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試聴なしに導入を決めたので、実は手に入れたBMC-2をつないで初めて音を聞いた時にはそれまでのDACとの音質差に良くも悪くも唖然としたのですが、それまで使っていたPHILIPSのDACの音と比べるとBMC-2はパンチや力強さ、存在感に薄い印象で、音像はふわりと広め。初見の印象は「極めて趣味のオーディオ的な音色」といった感じで、モニタースピーカーにFOSTEX NF1Aを使っているのですが、これが別のスピーカーに変わったかのような印象で困惑してしまいました。


端的に表現すると

・従来のDAC ・・・ 眼前に迫る勢いのある音。荒っぽい元気さ。存在感重視。
・BMC-2 ・・・ 広がりや奥行き感、音の繊細さ重視。空間や空気感が把握できる。

と言った感じ。全く傾向が違うので驚いて困惑して呆然としました(笑

とはいえ、過去に作業したいろんなProtoolsのセッションを開いて数時間耳を慣らしてゆくと、次第にわかってきたのがその奥行きの解像度の高さでした。

従来のDACは、わりと硬質でパッキリとした音質で奥行き浅めのモニター然とした音像だったものが、BMC-2のDACでは広がりを持って遠くまで奥行きを見通せるため、以前は見えなかったリバーブの奥行き感、コンプのリダクションリリースで音が揺れる感じなど細部が聴こえるその音質に驚きました。

エンジニアとしては 「正しくモニタリングできる事」 が大事な条件であって、そこに虚飾などは必要ありませんし、従来のDACもBMC-2もその点ではどちらも別の方向性ではあっても、それを満たしていると思うのでどちらがいいとは言えませんが、少なくともBMC-2の音質は、その奥行の解像感のよさ、繊細さという点で非常に高いポテンシャルを持っているように思います。


また音質面もさることながら、BMC-2には非常に繊細な気配りがなされている部分があります。

その1つが、入力ソースの切り替時や、CUT / DIMなどのレベル変更の際に耳とスピーカーを保護するために極短時間でのフェードイン・フェードアウトで柔らかく音が扱われることです。無遠慮にバツン!と音が切り替わったりせず、ほんの数十ミリ秒の気にならない速度でフェードイン、フェードアウトで音が入ってくるのは非常にいい気分で、気配りの行き届いた製品だと思います。

2つめが、「M/S検聴機能」。モノ成分とサイド成分をそれぞれ切り替えて聞くことが可能で、その際はL/RのメーターがM/Sdenoレベルメーターに切り替わるので、適度なステレオ感を得るためのサイド成分の検聴とレベル監視や、最近ではスマホなどのスピーカーがモノラルの場合もあるのでそういう環境想定で有効なモノラル環境での試聴もイッパツで可能です。
特にモノラルとステレオで交互にモニターし、その際の聴感差を埋めるようなミックスを追い込むことでバランスの良い音に仕上げるという事をする私にとっては大変便利な機能でした。

3つめは、12セグメントデジタルフルスケールの大型ピークメーター。手元で常にマスターのデジタルピークを見ることができるのは非常に便利です。-60dBFS~0dBFS、さらにO/Lまでの広大なレベルを12セグメントのLEDで細かく監視できるのはレベル管理の意味でも非常に有効な機能ですし、何より見た目がカッコいいです(笑)

▼仕様設計も練り込まれ欲しい機能が集約されている上に見た目の仕上がりも良い。
bmc2.jpg

BMC-2は製品自体の設計、仕様もしっかりしていますが、見た目の高級感にも気を使っていてとても好印象です。
筐体のアルミヘアライン加工、モニターコントロールノブの重厚感とトルク感。LEDインジケーターや自照LEDボタンによるわかりやすいステータス確認性など、商用スタジオでの仕様にも耐える機能と品質、性能を持っていると感じました。

この手の製品は満足するとしてもなにか1つや2つどうにも不満な点があるのが常なのですが、BMC-2に関しては全く不満が見当たらないという、近年稀に見る個人的に100点満点の製品でした。

モニターコントローラをこれから導入検討される方の参考となれば幸いです。


C3PROJECTでは音関連のお仕事を随時受付中です。
MA・吹替/アフレコ・音響効果・SE制作・録音技術・PA/SR...etc 音のお仕事はなんでもおまかせください。
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