とある音屋の日常 「C3PROJECTスタッフBlog」

サウンドエンジニア、サウンドデザイナーとしてレコーディングからPAまで音の仕事ならなんでもおまかせC3PROJECTの日常。

嫌いな人とは自分のこと 

僕は「苦手な人」は多いけど「嫌いな人」はほとんどいない。

そもそも人付き合いがしんどい性質なので、苦手な人とはすぐ疎遠になるのだが、フリーランスで10年やってると、「苦手な人」というのは自分自身が作り出す影や妖怪のようなもので、自分の作った壁が相手を「苦手な人」に変えてしまうことも少しづつ理解できてきた。とはいえなかなか壁を作らないというのは難しい。日々悩むことも多い。

僕の中の好き嫌いの序列は

好きな人>なんとも思わない(ニュートラル)>苦手な人>腹の立つ人>■■■越えられない壁■■■>嫌いな人

という感じになっていて、これまで「嫌いな人」に分類された人はいなかったように思う。

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category: 日々の雑感

AVID Artist Control のタッチパネルキャリブレーション 

S3やS6の登場でAVIDのProtools用コントロールサーフェスとしてはそろそろ古株になりつつあるArtist Control。

発売は2008年(当時はEuphonix MCシリーズとして発売。その後Avid傘下に収まり中身はそのまま、見た目はシルバーからブラックになり現在のArtistシリーズと改称。)なのでもうすぐ10年選手になる訳ですね。。。私も年をとるわけだ。。。

そんなArtist Controlですが4本のフィジカルフェーダーと8つのロータリーエンコーダー、大型のタッチパネルTFTディスプレイを備えていて、なかなか優秀なアイテムです。

以外と知られていませんが、Avid Artistシリーズ(ArtistMix,ArtistControlともに)にはTESTモードがあり、フェーダーの強制キャリブレーションとTFTタッチパネルの位置検出のキャリブレーションができます。

私のArtist Controlも経年のせいかタッチパネルを押した際に、押したところとは違う部分に反応してしまうようになったのでキャリブレーションしたところ誤検出の症状がスッキリ治りましたので、そのキャリブレーションの方法をご紹介します。



1. 「BANK L」、「BANK R」、「NUDGE R」を同時押ししながら電源投入。
  TESTモードに入るまで数秒間「BANK L」、「BANK R」、「NUDGE R」押しっぱなし。

control_cal1


2. TESTモードに入るとArtistMixは全LEDが点灯、ArtistControlはTFTに「TEST MODE」の文字。
control_cal2

3. ArtistControlは上記状態でタッチパネルに触れると「Touchscreen Calibration」モードになる。
control_cal3

4. 十文字のアイコンが出現するので、正確に十文字の中心をタッチ。次々と9回これが現れるのでタッチ。
control_cal4

5. 9回タッチしてキャリブレーションモードが終了するとEXITを押して電源OFF。

6. ずれが大きくて1回でキャリブレーションできてない場合は再度繰り返す。


以上

このTESTモードで、ArtistMix,ArtistControlともに強制的にフェーダーの下限位置検出によるモーターフェーダーのキャリブレーションが行われる。個々のフェーダーの微妙な0dB位置のばらつきなどのキャリブレーションには対応していないとのこと。

また、フェーダーの動作チェック、エンコーダーの動作チェック、ボタンの動作チェック、LEDの点灯チェックなどが可能。

購入後一度もキャリブレーションしていない方は是非一度試してはどうだろうか。


category: Protools関連

ピンマイクのケーブル補修とスタイリストへの怒り 

先日、ロケ終わりで事務所に戻って、機材の清掃メンテナンスしていたら、ワイヤレスで使っているピンマイクのシース(ケーブルの被覆)に裂傷を発見した。

裂けた状態を撮影し忘れていて修理後の写真しかないのだが、ラベリアの先端から10cmほどのところに約3mm程度、ケーブルの長手方向に裂け傷が...。


▼補修前の裂けた状態を撮影しておかなかったのでいきなり補修後の写真。

IMG_0641.jpg


ケーブルの裂け口を観察すると、劣化や疲労で裂けたものではなく、明らかに強い力で先端が尖ったもので圧力をかけて引っぱった裂け方だった。 先日の収録時に対象が女性ということで、ピンマイクを付ける際に録音部でもないクセにシャシャリ出てきて「私が付けます」という録音部的にクソ迷惑でしかないスタイリストが、タイピンクリップのワニ口に変な挟み方して、それを無頓着に引っ張ったりして扱ったせいで裂けたのだろう。

以前からスタイリストが「私が付けます」と言うたびに「引っ張らないでくださいね!断線するから!」と口を酸っぱくして言ってきたのに、ヤツらは気軽にピンマイクのケーブルを引っ張るのでほれ見ろ言わんこっちゃないスタイリストがやらかしたぞと思うとものすごい腹がたつのだが、不幸中の幸いシールド線が見えてしまっているだけで、シールド線や芯線に断線が無かったが、放っておけば裂け広がってしまうので補修することにした。

しかし嫌味の一つも言っておかないと気がすまないので言わせてもらうが、対象が女性タレントだと何を守ろうとしてるのか、録音部が神経を使ってちゃんと収音できるように苦労して取り付けるピンマイクを、全くのドシロウトスタイリストがマイクを取り付けたがる風潮、録音担当としては本当に迷惑だ。


ヤツらは音に責任持たないクセにシャシャり出てきてはロクな取り付け方、外し方をしないので、近年はもっぱら毅然と断っているのだが、今回はドラマなど衣摺れに気を使うような服の中への仕込みではなく、タイピンクリップで普通に取り付けるだけなので大丈夫かと油断して任せてしまったのが大きな間違いだった。

機材の値段や正しい扱いを理解しない勘違いスタイリストに機材を任せた自分もバカだったが、断線したらそれだけで何万もする高価な他部署の大事な機材だという理解をしないでぞんざいに扱うスタイリストは本当に迷惑だ。



さて、このケーブル被覆の裂け傷をどう補修するか。

一番手っ取り早いのは熱収縮チューブで覆ってしまう方法。
しかし熱収縮チューブで裂傷部分を補修すると、柔らかめの熱収縮チューブを使って補修しても熱収縮チューブの両端でケーブルの硬さが変わるので、チューブの両端で屈曲ストレスがかかり、新たな断線要因となる。

そこで、裂けた部分から前後に1.5cmずつ余裕をとって、ボンドを塗ったケーブルに糸を巻きつけて補修する事にしました。
糸を巻く事で裂け傷を塞ぎつつ補強もでき、ケーブルの柔軟性自体も損なわないはず。


まず糸を巻着付ける範囲を決めて、ドラフトテープで範囲を確定させる。
そしてゴム系のボンドをその範囲に薄く塗りつけ端から糸を巻きつけていきます。まずは一回端から端まで巻いたら、その端でいったん糸を縛り上げ、上からまた薄くボンドを塗りつけます。

そしてケーブルの長手方向に2、3回糸を這わせて、さらに巻き上げていきます。
ボンドを塗っては巻き、ボンドを塗っては巻きを繰り返します。

私の場合、三回巻き上げて良しとしました。



▼こんなかんじで補修する範囲をドラテで囲っておくと仕上がりが綺麗になる。
IMG_0642.jpg


▼ボンドは必ずゴム系を使う。瞬間接着剤は完全に固着するのでNG。
konisig17.jpg


▼糸を3重に巻いて補修完了。
IMG_0640.jpg



補修をする事でまた一つ機材への愛着がわく。
まだまだ働いてもらわないといけないのです。
皆さんも機材は丁寧に扱ってくださいね!!!!




category: 日々の雑感

thread: 仕事の話あれこれ♪ - janre: 就職・お仕事

音で考える録音技師の必要性 

C3PROJECTはあらゆる音の仕事を手がけるサウンドエンジニアリング専門のチームで、TV、映画、CM、アニメ、吹き替え、ゲーム、ライブPA/SR、レコーディング、音響効果など、あらゆる音の仕事に日々従事しています。

私自身はMAミキサーであり、また、現場で竿を持ってガンマイクも振るプロダクションサウンドミキサー(いわゆる同録の録音技師)でもあるので、同録の際はMAを見越した録音プランを必ず提案してます。

さて、あまり音に詳しくない方は、映像制作に携わっている人ですらなんで撮影時に録音技師が必要なのか、録音技師が何をしているのかをご存知ないようです。

確かにビデオカメラで撮影をすると、音のことなど意識せずともカメラ内蔵のステレオマイクで雰囲気を録音できますし、録音技師の必要性を感じないのは仕方のないことかもしれません。

そこで今回は意外と知られていない「ビデオカメラ内蔵マイクで録音できる音」と、「録音技師が録音する音」の違いをご説明したいと思います。


▼私の最近の録音スタイル。マルチトラック録音によりMAでの自由度も高まった。
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ビデオカメラ内蔵のマイクで録れる音は雰囲気


映画撮影用のシネカメラや監視カメラを除いたほとんどのビデオカメラには、まず間違いなくマイクが内蔵されていますが、結論から言うと内蔵マイクで録音できる音は「その場の雰囲気」程度のものです。

「雰囲気程度の音」というのがどういう意味なのかをもう少し説明すると、例えばガヤガヤと賑わう200人くらいの結婚披露パーティーの中、数人のお友達グループが談笑する風景を、歓談を邪魔しない程度に数メートル離れて撮影したとします。
帰宅後編集しようとしてこの映像を再生しても、おそらくお友達の会話は所々聞き取れる程度で、いくら音量を上げたところではっきりと聞こえることはないでしょう。

つまりこれが「雰囲気しか録音できない」ということです。

これは内蔵マイクである以上「マイクの位置=カメラの位置」であり、「マイクの位置≠音源の位置」という当たり前の制約と、カメラの内蔵マイクが無指向性(あらゆる方向の音を無選別に拾う性質)であるゆえの宿命です。特に「マイクの位置≠音源の位置」という制約は、距離の2乗に反比例して減衰し拡散する物理特性を持つ音にとっては致命的な制約になります。

音の世界では内蔵カメラマイクで録れるような種類のサウンドを「フォーカスされていない音」と表現したります。フォーカスが合っていない音だからといって利用価値がないわけではありません。フォーカスが合っていなくてもその場がどういう雰囲気なのかを伝える重要な情報を持っています。フォーカスされてない音は、その場のざっくりとした雰囲気を伝えることを得意としますが、ある一点の詳細な音を伝えることは苦手なのです。
どんな場所で、どういう天気や環境なのか、何人くらいの人がいるのか、活気の度合い、静寂の度合い・・・など、フォーカスされていない「場」の雰囲気を記録するのがカメラ内蔵マイクの役割なのです。

音の世界ではこういったフォーカスされていない音を「アンビエンス」と言ったりします。アンビエンスとは和訳するとそのまま「雰囲気」です。 要するにカメラの内蔵マイクは雰囲気録音用マイクなのです。


録音技師はフォーカスをコントロールした音を録音する


音は発生した瞬間からあらゆる方向に拡散しつつ減衰していきます。しかもあらゆる物体に当たって反射し、共鳴し、干渉しつつ拡散、減衰していくうえに、同じ空間の他の音とも容易に混ざり合ってしまうので、目的の音を明瞭さを保ったまま録音するというのは意外と難しいのです。

では「録音技師が録音する音」とはどういうものなのか。

先述のカメラ内蔵マイクでは「マイクの位置=カメラの位置」という大きな制約がありましたが、録音技師による録音の場合、カメラから物理的に独立したマイクを駆使して録音するので、より音源にマイクを近づけた「マイクの位置=音源の位置」という好条件で録音できるわけです。

基本的に音はマイクに近いほどフォーカスが強くなり、マイクから遠くなればなるほどフォーカスがボヤけていくので、仮に先述したガヤガヤしたパーティのような条件で会話する数名のグループを撮影するにしても、録音技師がいれば長いブームに取り付けたガンマイクをグループの頭上に伸ばすことで明瞭な会話を録音することができるわけです。
場合によっては話者の胸元などのごく至近にピンマイクを取り付けることで、さらに明瞭度の高いフォーカスされた音を録音することも可能です。


▼ブームで差し伸ばしたガンマイクが明瞭な会話と場の雰囲気をきちんと捉える。

IMG_1925.jpg

しかしフォーカスの高い音ばかりでは、その場の雰囲気が伝わらないことがままあります。そういう時は、あえてファーカスの合っていないマイクからの「雰囲気=アンビエンス」を混ぜ込むことでその場の状況が伝わるようにバランスをとります。

例えばコンサートの映像でバンドの演奏音とボーカルだけを録音しても、コンサート会場のスケール感や高揚感、ライブ感は伝わりません。演奏音とボーカルだけの録音はフォーカスはバッチリあっているにもかかわらず、周囲の雰囲気がわかる音が含まれていないので全く盛り上がっている感じがしないのです。そこで録音技師は客席に何を録音するでもなく無造作に立てた数本のマイクの音をバランスよく混ぜこむことで、コンサート会場のあの盛り上がりを再現し、録音するのです。これが音屋がよくいうところの 「空気感を掴む」というやつです。


フォーカスがバッチリ合っているだけでも、アンビエンスだけでもダメ。


そういうなんとも難しい塩梅を録音技師の経験で加減し、マイクの位置や向き、マイクの種類、ミックスバランスで整えて録音するからこそ、高精細な映像と共に伝わる音をみなさんにお届けできるのです。


この記事で録音技師に録音を任せる重要性を少しでもご理解いただけたら幸いです。


C3PROJECTは撮影時の音声同録、MA、音響効果のほかVRに特化した録音や音響でも多くの経験とノウハウを持つあらゆるサウンドの専門技術チームです。
音でお困りのことがあればなんなりとC3PROJECTにお気軽にお問い合わせ、ご依頼くださいませ。
C3PROJECTへのお問い合わせ、ご依頼はこちらからどうぞ。


category: 基礎技術・知識

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【備忘録】現場でよく使う各種ネジ径 

地味な話題ですが、現場に出ていると直面する「地味に痛い局面」が、スタンドなどのネジ径。

万全の用意で行ったつもりが


「スタンドにホルダーが付かねぇ・・・」



など、現場人ならネジ径の思わぬ落とし穴問題で歯がゆい思いをしたことが一度や二度はあるはず。


私は必ず現場にこれらの変換ネジを一式揃えた「変換セット箱」を持っていきますが、それぞれの名称とサイズについてはよく覚えていなかったので備忘録として記事にしておきました。



3/8インチ(AKG規格)

K&M ST210(標準ブーム)やST259(ショートブーム)のネジ径。ヨーロッパ系。
多分一番よく使うネジ径じゃなかろうか。


5/8インチ(SHURE規格)

SHURE SM58のホルダーなどの親指太さ程度の太いネジ径。
PA現場では5/8と3/8の変換ネジ(通常AKG-SHURE変換)があると非常に重宝する。


1/4インチ

カメラ三脚など撮影現場で標準のネジ径。K&Mのマイクスタンドのネジ径3/8と比べると一回り小さい。
撮影現場では1/4と3/8の変換があると共用できて非常に重宝する。
ハンディPCMレコーダーなどのホルダー径は1/4であることがほとんどなので、カメラ用ミニ三脚などが使える。



〜〜〜ここから下の規格は今時あまり見かけない〜〜〜


1/2インチ
あまり見かけないがヨーロッパ系の古い機材で時々見かける。


BTS規格(1/2インチ,Broadcasters Technical Standardの略)

NHKの制定した国内規格で古い機材に採用されていることが多いが、もはやあまり見かけない。
古いスタジオ以外では現場で見かけることはほぼないだろう。
SONY C−38などがこの径で、5/8よりも一回り太い。
規格としては2001年に廃止され死につつある。



・・・ということで、覚えておくといつか役立つネジ径のお話でした。

ちなみにAmazonで「マジックアーム」「クランプアーム」などで検索すると、撮影系の小物ですが大変便利な多関節アームが数千円で購入できます(撮影系なので1/4インチネジです)。これを2、3本持っておくと、マイクをややこしい場所にも楽々仕込めるので大変便利ですのでぜひオススメです。
ARM1.jpeg

category: 音響機材関連

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