とある音屋の日常 「C3PROJECTスタッフBlog」

サウンドエンジニア、サウンドデザイナーとしてレコーディングからPAまで音の仕事ならなんでもおまかせC3PROJECTの日常。

たまには現場録音のレポートを 

C3PORJECTの現場は、撮影の同録から、スタジオでアニメや吹替の収録、バラエティ番組やCMのMA、生配信の音声や中継音声の技術、ライブのPAまで多岐にわたり、音の仕事でやれないことは殆どありません。

以前はそうした現場のレポート的なこともよくブログ記事にしていましたが、手軽なTwitterに毒されてここ数年そうした記事を書いていなかったように思います。(一時、白内障で目を悪くして画面を見続けることが辛かったのも一因です)

今回は久しぶりに「こんな現場録音してきたよ」というレポート記事です。

案件名などは伏せておきますが、仕事のミッション要件としては

・アーティスト数組の短いMV(ミュージックビデオ)案件。
・古民家の雰囲気の中、アーティストが生演奏する映像。
・その場で演奏している雰囲気を重視した録音。
・映像と音の雰囲気が合致していることが重要。
・ただし音は一発録りではなく、スタジオ録音同様パートごとに収録し・・・
・アーティストにはクリックや演奏の返しやプレイバックも聴かせて・・・
・その場でMIXしプレイバック。それに合わせて映像撮影する。

というもの。

この要件をクリアするには単に録音機を回すだけではなくてMIXや編集が必要なため、録音スタジオ同様「Protools」を現場で回すしかないので、モバイルProtoolsシステムを持ち込みました。


▼ 今回のシステムプラン図 即応できる柔軟さのためアナログミキサーを使用。 
DiagramLiveRec0206.png


ミッション要件として単純に理解するならば「音楽レコーディングスタジオでやってることをロケ地の古民家でもやらなければいけない」というものなので、それなりのプランと物量が必要となりますがその結果が上記となります。
まずシステムプランで考慮しなければいけなかったのが
・コロナ事情のため録音部はワンマンオペレーションであること
・ワンオペでも運搬できる機材量と、必要な条件のバランス
・MV撮影もあるので、限られた時間と専有面積で設置できるコンパクトさ
・アーティストサイドからのあらゆる音の要求に柔軟に対応できるシステム
・アーティストへの「返し」のレイテンシーの問題
上記のような点を考慮してプランを組みました。
その結果、現場ではこんな感じでセットアップされました。


▼ モバイルProtoolsシステム。カートごと移動できるので便利。
IMG_18560206.jpg

▼ 先程とは違う部屋へ移動。カートなので非常に楽に移動できる。
IMG_1858.jpg


カート乗っている機材については下記のような構成。

【カート最上段】
・MacBook Air
・ZOOM F8(USB Audio Interfaceモードで利用)
・BOSE M101(ステレオ再生するので2発)

【カート中段】
・Mackie 1604VLZ Pro

【カート下段】
・BOSE 1706(101駆動用アンプ)


今回のシステムではアナログミキサーの Mackie 1604VLZ Pro を使って音の出入りを管理している。出力系統が柔軟で1ST/4BUS/4AUXと豊富で音質的にも申し分ない。今回はHDXカードを使うProtoolsシステムを持ち込んだわけではないので、問題になるのがレイテンシー。事前の運用テストではPlaybackEngeneのバッファーを64サンプルにして48KHz/24bitの録音で4ch同時録音でもエラー停止などはしなかったが、念の為128サンプルで運用した。128サンプル(約0.0026秒)なので遅れというよりは位相ズレだが、脳は位相変化に敏感なので、音楽系で音に敏感な人は嫌がる人が多くなってくる。そのためアーティストの演奏や歌唱の遅れると気持ち悪い音の返しはカート中段に据えたアナログ卓から直接送っている。

もちろん1604でシステムを組んだ理由はそれだけではない。アナログミキサーを使うことでサッとEQをかけたり、録音や各送りへの音量調整も行える。いちいちプラグインを起動して画面でチコチコやってる暇のない現場では、アナログ卓の時間的な優位性は心強い味方になる。そこにあるツマミとフェーダーを弄れば待たせず結果を出せるというのは、こうした時間に迫られる現場では間違いない強さである。


写真左に写るHAなどアウトボードについては上から

・Universal Audio 4-710D
・Nightpro EQ3-D
・AMEK 9098 DMA
・AMEK 9098 CL


今回は4-710DをHAとして全ての音を録音し、場合によって9098CLをインサートして使用するスタイルをとりました。
4-710D は4chのプリアンプですが、各チャンネルに1176タイプのコンプを内蔵していてゲインに応じてコンプをかけることが可能。面白い機能としてはHAの味付けに真空管とトランスの回路を自由に比率をブレンドして通すことが可能な点。今回はギターなどには真空管、ボーカルにはトランスの味付けで録音を行った。

ちなみに今回の案件では「古民家で歌っている空気感」を映像とともにしっかりと伝えたいという意向があったため、収録した古民家各所でのインパルスレスポンス(IR)も収録した。IRを収録しておくことでリバーブプラグインで響きの再現が可能になり、TDやMA時にこれを活用できるためだ。


▼ ステレオで部屋のインパルスレスポンスを収録している様子。
IMG_1862.jpg IMG_1861.jpg


ちょっと変わった収録現場でしたのでご紹介しましたが、今回の収録では他にもいくつか考えていた
案があり、SENNHEISERのAMBEO VRというVR専用マイクを使うことも考えました。AMBEOは360度あらゆる方向の空間の響きを非常によく収録できるマイクなのでぜひやってみたかったのですが、予算やシリーズでの収録だったため他との整合性を考慮して見合わせました。

このようにC3PORJECTは複雑な収録や、機動性の必要な録音など、あらゆる音の現場で最適なプランをご提供できるサウンドプロダクションです。音についてのご相談がある方はぜひお気軽にC3PROJECTまでお問い合わせください!


▼ C3PROJECT お問い合わせなどもこちらからどうぞ!
http://c3project.jp/


おまけ写真。今回の現場への積み込み。座席も満載。翌日尻が筋肉痛でした。
IMG_1852.jpg

category: お仕事レポート

tag: Protools  映像制作  録音部  レコーディング 

AKG C451の歴史 

AKGのC451は1969年に開発されたスモールダイアフラムのコンデンサマイクで、今日まで50年以上に亘ってペンシル型コンデンサマイクのスタンダードとして現役という、殿堂入りマイク。

英語圏では「Four - Fifty One」、日本では「シゴイチ」の通称で、スタンダード中のスタンダードと言えるマイクなので、今更ことさらに注目する人もいないマイクですが、これがあってこその録音も多いマイクなので、急に気になってその歴史を調べてみました。

C451EB.png

C451の登場は1969年、AKGにとって最初のFETマイクとして登場。
最初期は12vの電源で動作するタイプで、AKGがオーストリアの会社ということでドイツ工業規格であるDINコネクタタイプ(型番:C451C 末尾CはDINコネクタのもので、後年登場したXLRコネクタのものは末尾EとなってC451Eになる。)のものだったらしい。

C451の特徴はダイアフラムカプセル部とプリアンプ部で分割できるモジュラーシステムで、今日「シゴイチ」といえば普通は「CK1カプセル + C451プリアンプ」の総体を指している。C451はプリアンプ部にPADやHPFを搭載したりして改良され続け、「C451EB」「C451B」と変遷し、2022年でも現役の製品として販売されている。

登場順としては下記のようになる。

C451C DINコネクタ型
C451E XLRコネクタ型
C451EB Eの改良版。プリアンプ部にPADとHPFを内蔵した
C451B EBの改良版で現行品。カプセル部との接点の信頼性向上や音質も見直された


なお、CK1カプセルの兄弟分が結構あって

CK1 最もスタンダードな451のカプセルでカーディオイド特性
CK1S CK1の周波数特性について10KHz近辺を4〜6dBブーストしたもの
CK2 オムニ特性
CK3 ハイパーカーディオイド特性
CK4 LDC(Large Diaphragm Condensers)型カプセル
CK5 カーディオイド特性のグリル付きボーカルヘッド
CK6 双指向特性(オムニ/カーディオイド/双指向の切替ができる)
CK7〜CK9 ロングショットガン型カプセル(あったあとかなかったとか・・・)

などなど滅多にお目にかかれないレアカプセルがあるみたいです。

▼ボーカル用CK5と指向性切替があるCK6(画像はネット上から拝借)
AKGCK5.pngAKGCK6.png

ちなみに日本でも大ヒットした80年代洋楽で「カーマは気まぐれ(原題︰Karma Chameleon)」で有名なカルチャークラブのボーカル、ボーイ・ジョージの当時映像(Youtubeなど)を見ると、C451らしきマイクを手持ちして歌う映像がいくつか出てきますが、風防なしでC451をボーカルに使うとトンデモないことになるはずなので、451とは違うのでしょうかね・・・・? ご存じの方がいたら教えて下さい。(外観的にはSHURE KSM137やSM81にも似ている・・・)

▼C451(?)らしきマイクで歌うボーイ・ジョージ。このマイクは何なんだろう。
BoyGeorgeC451.png



category: 音響機材関連

Macでハードディスクをスリープ(スピンダウン)させない方法 

SSDが手頃になって来た今でも、映像や音などメディア編集をする職の人間にとっては、大容量の外付けの3.5インチHDDのはいまだ魅力的である。

「裸族のお立ち台」をはじめ、3.5インチHDDを素っ裸でファミコンカセットのようにガチャコンと着けたり外したりできる、いわゆる「HDDのお立ち台」の中にはHDDコントローラーが内蔵されていてアクセスが一定時間ないとHDDをスピンダウン(スリープ)させてしまうものがある。うちのお立ち台では10分アクセスがないとスピンダウンしてしまう。

こうしたHDDコントローラー内臓のお立ち台で非常に厄介なのは、OS側から見たHDDはスリープしていないという点。お立ち台のコントローラーが勝手にHDDをスリープさせているにもかかわらず、OSから見たHDDはアクティブなので、データ転送待ちで処理が止まってしまう。しかも昨今データキャッシュを大きく取れるので10分間HDDにアクセスしないことなど当たり前で、すぐスピンダウンしてしまう。
省エネ面やHDDの寿命を考えるといいこともあるのだが、勝手にスピンダウンをされてしまうと、いざアクセスが起きると10〜20秒待たされてしまう。しかもスピンダウン、スピンアップの度にヘッドが退避する際の大きな音がして、これまた精神衛生上良くない。

Macでは「環境設定>省エネルギー」で「可能な場合はハードディスクをスリープさせる」というチェックボックスがあるが、HDDコントローラー内蔵のお立ち台にはこのチェックボックスは効果がない。お立ち台内蔵のコントローラーがすべてを握っているのでOSの意向などは完全に無視される。


▼「可能な場合はハードディスクをスリープさせる」を外してもダメなHDDがある。
MAC_Pref_PM1222.png
こういうアウトローなお立ち台の場合、数分ごとに強制的にHDDへアクセスするイベントを起こさない限りスピンダウンしてしまう。

どうにかしたいので、ターミナルから ls コマンドを定期的に打つバッチを書いてみたが、キャッシュがあるためHDDを直接アクセスさせるに至らず失敗。

どうにかならないか探していたところ「Keep Drive Spinning」というアプリを見つけたのでご紹介します。

Keep Drive Spinning

 配布元>> Jon Stovell’s Software

このアプリは指定時間毎に強制的にHDDアクセスをイベントして、勝手なスピンダウンを防ぐアプリで、Macの環境設定で「可能な場合はハードディスクをスリープさせる」チェックボックスでは効果のないお立ち台でもHDDを眠らせません。

使用方法は簡単で、起動してスピンダウンさせたくないHDDを選ぶだけ。
常駐型のアプリではないので、一度設定した後は二度と起動する必要ないのも素晴らしい。
注意すべきは実行時、アプリケーションフォルダから実行しないとパーミッションの関係でうまく設定が通らないので、必ずアプリケーションフォルダに置いてから実行のこと。

ちなみにSSDにこれを設定すると無駄なアクセスでSSDの寿命を縮めるので無駄なことはやめましょう。(そもそもSSDはスピンダウンしないし無意味)

category: 基礎技術・知識

M1 Mac Mini(2021)へ移行した 

先日「M1 Mac mini へ環境移行の準備」していたMac mini。
ProtoolsのMontereyへの対応が一向に出てこないので、プリインストールされていたMontereyをBigSurへダウングレードしてシステムの移行を完了した。

過去記事>>M1 Mac mini へ環境移行の準備

移行のためMac ProからHDXカードを抜いて移設する作業自体は、ついでに内部清掃をしながらで小一時間ほど。Mac Pro内部のホコリを清掃しました。

▼HDXカードをシャーシに移植中。作業は至極簡単。
IMG-1571.jpeg

▼HDXカードはAvid Thunderbolt3 DESK ChassisでMacへ接続。
IMG-1572.jpeg

2021年12月の時点では自分の使う大抵のアプリケーションはM1プロセッサに対応していていて、ほとんど支障はなかったが、音周りで言えばSoundflower(仮想オーディオIFを構築するApp.)とAU Lab(DAWを使わずにスタンドアロンでAUプラグインをオーディオIFへ接続するApp.)の2つが非対応だった。

Mac Pro(Mid2012)から移行して実際に使い始めて3週間が経ち、特段の不満もないが、向上したところもよくわからない。逆に言うとMac Pro(Mid2012)が10年前の機種でもいかに高性能だったかを思い知らされる。前回も書いたことだがMac Pro(Mid2012)の不満といえば空冷ファンがうるさいのと消費電力くらいで他にはなんの不満もない。

M1プロセッサはGPU内臓のSoCなので、これまでWindowsでもMacでもそれなりに高性能グラボを挿して使ってきた自分としては不安があったのだけど、全く杞憂で終わった。ProtoolsでH.264などの映像を同期しながら音の作業をしてももたつくこともなく、YouTubeも快適に見られる。

とはいえM1 Mac miniはあの弁当箱の大きさで、発熱も少なく、省電力で、静かなのに性能は折り紙付きなのは十分に体感できる。起動の速さはコールドスリープからでも10秒以内の爆速。本体を触ってもほとんど熱を感じない。

▼6Uラックの最上段1UにMac miniをセット。背面を前にして設置。
IMG-1589.jpeg

最終的に6Uラックの中に全てのコアなシステムが収まり大変コンパクトになった。

そう言えばThunderbolt3のドッキングステーションにFireWire800のポートがあるものを見つけることができなかった。FW800は外付けHDDでよく使っているのでこれがないと結構困る。
FireWire800もThunderbolt自体もApple主導の接続規格は容赦なく切り捨てられていくので非常に困る。世代間で移行期間をもたせられるような配慮をしてほしいのだが・・・。

ともあれこれでまた10年働ける、・・・だろう。

category: Protools関連

M1 Mac mini へ環境移行の準備 

またしてもBLOGの更新は久しぶりになってしまいました。

特段不満があったわけではないのですが、現メインのProtoolsHDX環境がそろそろレガシーになってきて、継続的なアップデートが困難になってくることが予想されてきたので、とうとう新環境への移行を準備し始めました。強いて不満があるとすればあの図体の大きさかなぁ。。。とにかくデカくて重い。

当ブログの過去記事を遡ると、私がProtools HDシステムからHDXへ移行したのは2015年のようです。

当時最新のMac mini(Core i7搭載のMAXスペック)をベースにHDXを導入したものの、当時のOSX YosemiteとProtoolsの相性問題からギクシャクとしか動かない悲劇に終わったのは苦い思い出。(この不具合はその後のアップデートで直ったらしい)結局買い揃えたMac miniやラックマウントシャーシもすべて売り払って2012年モデルの銀箱Mac Proの中古を購入して今に至ります。

ちなみに現メイン機 Mac Pro(Mid2012)のスペックですが、2021年現在も不自由は無いようにUSB3.1のボードを追加したり、Mojaveアップデートのためにグラボを載せ替えたりしてあります。


【現状のMac Pro (Mid2012)スペック】
CPU:2 x 2.66 GHz 6-Core Intel Xeon(計12コア)
メモリ:16 GB 1333 MHz DDR3
グラフィック:Radeon RX 580 8 GB(Metal対応品に交換)
I/F:FireWire800、USB3.1拡張ボード
MacOS Catalina での動作確認済

▼現メインのMac Pro設置状況。困るのはこの大きさと重量くらい。
image_6483441.jpg


2012年モデルなので単純計算もうすぐ10年目なのですが、そこは流石、腐ってもハイエンドマシンのMac Pro。未だに速度が遅いとか不満は特にないのはスゴい。唯一悲しむべきはAppleのOSアップデートでMojave(MacOS 10.14)を最後に対応機種から脱落してしまったこと。公式には非対応ながらもCatalina(MacOS 10.15)をインストールして使っていますが全く問題ありません。

ちなみにCINEBENCH(R23)でMacPro 2012を計測したところスコアが6986でした。
M1 Mac miniの計測スコアは7760でほとんど差がなかったので、実際2012年のMac Proであってもパワーは十分すぎるくらいにあるのがわかります。

▼Mac Pro(Mid2012)のCINEBENCH結果。M1 Mac miniとスコアに大差はない。
(オレンジ色のグラフがMac Pro(Mid2012)のスコア
Cinebench_macpro2012.png

とはいえAppleからサポート除外を宣告されているマシンでは近い将来詰むことは間違いないので機材更新ということで、Appleシリコン搭載のM1 Mac miniを購入しました。

▼注文翌日午前中に届いたM1搭載 Mac mini。メモリはMAXの16GB。
image_6487327.jpg

今の今まで2012年のMac Proでも不満はなかったのですが、やっぱり10年の世代格差は確実にあって、当たり前だけど性能に比してとにかく小さい。そして消費電力の少なさ。それに伴ってめちゃくちゃ静か・・・というか無音。やはり2012年のMac Proはファンの音が避けられない。あと今のPCってあたりまえにSSDなのでとにかく起動が早い。

・・・が、2021年12月現在Protoolsが最新OSのMonterey(MacOS 12)に非対応のため移行待ちしている状況です。BigSurへダウングレードしてもいいんだけどどうしようかなぁ・・・。

▼開封の儀を待つばかりののAvid Thunderbolt3 Desktop Chassis
image_50373633.jpg

とりあえずは移行の準備としてMacOSの細部設定とかDAW関連以外のアプリケーションのインストールをしてじっくりまつとします。

category: Protools関連

プロフィール

C3PROJECTの中の人のTwitter

過去全記事を表示

最新記事

カテゴリ

FAVORITEアイテム達

C3PROJECT関与商品

月別アーカイブ

最新コメント

最新トラックバック

リンク

ブロとも申請フォーム

RSSリンクの表示

ブログリンク